山口県防府市の泌尿器科
かわい泌尿器科
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血尿

検診などで偶然発見された症状のない、見た目でわからない血尿に対して,精密検査が必要でしょうか? するとしたらどのような方に精密検査を推奨しますか?

健診などで偶然発見された症状のない、見た目でわからない血尿で最も注意が必要なのは,癌が存在する場合があることです。精密検査を受けた血尿の患者さんの1.4%~6.0%尿路悪性腫瘍が発見されたとの報告があります。尿路上皮癌は,男性では全悪性腫瘍のうちの約10%を占め,女性では約3%です。男女とも45 歳ころから増加し始め,60 歳以上で急に増えます。

 

・血尿がある方は今後約10%の方が尿蛋白も陽性となることが知られており,尿蛋白が陽性となった場合には,将来腎臓が悪くなる危険性が高く,専門医での精密検査が推奨されます。

・血尿がある方はない方に比べ,長期的には腎臓機能低下する危険性が高いです。

・血尿がある方でも,再検査で血尿を認めない場合や,尿沈渣検査で赤血球が存在しない例には,精密検査は必要ないです。

・再検査で血尿をあった場合や,尿沈渣検査で赤血球がある場合は,尿路悪性腫瘍(膀胱がん、腎臓がん、尿管がんなど)の泌尿器科疾患を除外するための精密検査が必要です。

・精密検査で尿路悪性腫瘍が発見される頻度が数%程度あります。

・精密検査で異常がなくても,血尿が消失しないかぎり,3ヵ月~1年に一度以上の経過観察が必要です。

尿路悪性腫瘍(膀胱がん、腎臓がん、尿管がんなど)の危険性が高い方

40歳以上の男性 / 喫煙歴 / 化学薬品取り扱い / 見た目にわかる血尿 /泌尿器科疾患/頻尿や残尿感、排尿痛がある方/ 膀胱炎になったことがある方 / 鎮痛剤(昔のセデス)多用 /骨盤放射線治療歴がある方 / シクロホスファミド治療歴がある方

どんな検査をするの

・尿沈渣検査(尿を遠心分離して尿の中に含まれているものを調べる):

尿中に赤血球の有無を確認します。尿潜血(+)であっても、尿中に赤血球が無ければ特に問題ありません。尿中に赤血球があった場合、赤血球の形を診ることで、腎臓から血液が漏れ出しているかどうかを判断することもできます。

尿潜血反応は簡易検査であり、激しい運動後や、服用している薬の影響で偽陽性となることがあるので、尿沈渣検査がより確実な検査です。

・腹部超音波検査:腎臓、尿管、膀胱、(男性の場合前立腺)を検査します。お臍の下からと背中側から観察します。結石、腫瘍、血管の異常の有無を調べます。

・尿細胞診検査:腎臓、尿管、膀胱、尿道に万が一癌がある場合、そこを通過する尿の中に癌細胞が落ちてくることがあります。それを利用して、出してもらった尿の中の細胞を集めて顕微鏡で検査して、癌細胞が無いかどうかを確認します。

 

いずれの検査も痛みはありません。

癌の疑いが強いと判断した場合は、膀胱の内視鏡検査、CT検査が必要です。

肉眼的血尿(見た目に赤い尿)をきたす病気

1. 尿路上皮癌(膀胱癌,腎盂尿管癌)

50 歳以上の血尿で最も多い原因は膀胱癌である。膀胱癌の80%以上が血尿を主訴としている。膀胱癌に伴う血尿は間欠的血尿(出たり出なかったり)で,検査時に血尿がなくても過去の血尿の有無が重要である。腎盂尿管癌の初期症状として肉眼的血尿を約60%に認める。腎盂尿管癌の2030%に側腹部痛を伴う。膀胱癌などの尿路上皮癌の病因はいろいろ考えられているが,喫煙習慣,フェナセチン常用者,アリルアミン化合物暴露の既往,シクロホスファミドなどの化学療法の既往,骨盤部の放射線照射の既往などのある血尿は,膀胱癌などの尿路上皮癌の可能性を考慮して検査を勧める。

2. 腎ぞう癌

以前は側腹部痛,血尿,腹部腫瘤が腎癌の3 大症状といわれていたが,現在では健診などで偶然発見される腎癌が大勢を占めている。

3. 前立腺肥大症

前立腺肥大症で手術適応の12%に肉眼的血尿を認める。血尿を伴う前立腺肥大症組織は微細血管密度が著しく高く,血尿発生に重要な役割を演じていると報告されている。

4. 腎動静脈奇形

腎動静脈奇形は比較的まれな疾患であるが,先天性腎動静脈奇形であるcirsoid type の主訴のほとんどが,肉眼的血尿である。

5. 腎梗塞

腎梗塞は,腎動脈あるいはその分枝の閉塞によって腎組織の急激な壊死を起こす疾患で,腎動脈塞栓または腎動脈血栓により発症する。腎梗塞は種々の原因で発症し,主に側腹部痛を伴うが,肉眼的血尿を認める。腎梗塞の原因疾患として悪性腫瘍が隠されていることもある。

6. 糸球体疾患

肉眼的血尿を呈する糸球体疾患としては,IgA 腎症と溶連菌感染後急性糸球体腎炎,半月体形成性腎炎が重要である。慢性腎炎症候群の中の一疾患であるIgA 腎症は反復性の肉眼的血尿を認めることがある。また腎血管炎による半月体形成性腎炎(臨床的には急速進行性糸球体腎炎を呈する)では糸球体基底膜の破綻により,しばしば肉眼的血尿を認める。尿中赤血球形態による糸球体性血尿と非糸球体性血尿の鑑別は有用である。

7. 尿路結石症

尿路結石症の主症状は側腹部痛であるが,ほとんどで血尿を伴っている。ときに,肉眼的血尿が唯一の主訴であることもある7)

8. 出血性膀胱炎

出血性膀胱炎の原因はいろいろ考えられるが,①化学物質による膀胱出血,②特異体質や免疫原性の薬剤反応による膀胱出血,③ウイルス感染による膀胱出血,④原因不明の膀胱出血に分けられる。喘息の治療薬であるトラニラストや抗癌剤シクロホスファミドなどの薬剤投与の既往,骨盤部の放射線療法の既往がある場合には,難治性の出血性膀胱炎発症の可能性がある。免疫抑制療法中の肉眼的血尿の中にはウイルス性膀胱炎の可能性がある。アデノウイルスによる出血性膀胱炎やBK ウイルスによる出血性膀胱炎も報告されている。

9. 特発性腎出血

通常の泌尿器科的検査を行ってもその原因がつかめないものを総称して特発性腎出血とよんでおり,症候群である。原因として,自律神経異常,腎低酸素症,腎杯静脈交通による出血,腎炎,腎盂腎炎による出血,アレルギー,病巣感染性腎出血,検査で発見でない小病巣からの出血,線溶系異常による出血などが推定されていたが,腎盂尿管鏡装置と手技の進歩により,現在,腎盂静脈洞の血管破綻などの尿路の微小血管の破綻や血管腫など血管病変が主な原因で発生すると考えられている。

また,左腎静脈が腹部大動脈とその腹側を走る上腸間膜動脈の間に挟まれ,左腎静脈の還流障害による左腎静脈内圧の上昇に伴い,左腎出血が起こる現象が認められる。この現象を左腎静脈造影所見の特徴からナットクラッカー(クルミ割り)現象またはナットクラッカー症候群(nutcracker phenomenon or nutcrackersyndrome)とよぶ。以前は左腎静脈造影ならびに上腸間膜動脈を境に起こる左腎静脈内圧の変化から診断していたが,現在はCT 検査による上腸間膜動脈の左右での左腎静脈径の差,造影早期相(皮質造影相)の左腎静脈からの側副血行路への逆流像から診断できる。CT 検査や腹部超音波検査から得られる上腸間膜動脈の左右での左腎静脈径の差だけによるナットクラッカー症候群の診断は疾患特異性がない。通常は副血行路の構築とともに血尿は改善するので,治療の必要はない。特発性腎出血が左側に多く認められることは,ナットクラッカー症候群による特発性腎出血に起因するのかもしれない。

お子さんの学校検診の異常の原因は?

小児の血尿と原因疾患

血尿単独陽性の場合は,実は原因が確定できない無症候性血尿がいちばん多い。原因が判明する場合,非糸球体性では,高Ca 尿症,ナットクラッカー現象によるものが多く,糸球体性では菲薄基底膜病(TBMD)やIgA 腎症が多い。小児の腎尿路の悪性腫瘍はWilms 腫瘍が最も多いが,実際の発生数はきわめて少ない。

無症候性血尿の3 分の1 から4 分の1 は,先天的に糸球体基底膜が菲薄で脆弱なことによる血尿を呈する菲薄基底膜病である。しかし,菲薄基底膜病が疑われても,難聴や腎不全の家族歴を有する場合や,しだいに蛋白尿が出現する場合は,Alport症候群(難聴を伴い、腎不全になる病気)の可能性が高い。

ナットクラッカー現象(nutcracker phenomenon /nutcracker syndrome)は思春期の内臓脂肪の少ないやせ形の児に多く,思春期の非糸球体性血尿の中で占める割合は多いとされる。解剖学的に左腎静脈は,腹部大動脈とその腹側を走る上腸間膜動脈の間に挟まれている。左腎静脈周囲のクッションとなる内臓脂肪の少ないやせ型の児では,左腎静脈が2 つの動脈により圧排され灌流障害と左腎のうっ血を生じ,左腎杯や尿管からの穿破出血により血尿を呈する。典型的臨床像は反復性の肉眼的血尿で,それに伴う左側の腰痛,まれに精巣静脈瘤(左腎静脈の狭窄により同静脈に流入する左精巣静脈の還流障害による;男性不妊の原因ともなる)を伴うこともある。ちなみに,ナットクラッカー現象を呈するやせ型の思春期の児童は体位性(起立性)蛋白尿を合併することも多く,無症候性・血尿蛋白尿を呈し,慢性糸球体腎炎と間違われることもある。

Ca 尿症は小児の血尿の原因としては少なくない。わが国の報告では,臨床的に腎炎が考えにくい血尿の37%に高Ca 尿症がみられ,特に肉眼的血尿発作を伴う血尿症では64%に高Ca尿症がみられたという。さらに,尿路結石は,小児であっても小さなものを含めれば決してまれではない。小児の尿路結石は痛みを訴えないことも多く,さらに原因の一部に先天性の代謝あるいは尿細管疾患が含まれる点が成人と異なる。

陸上競技や走る距離の多い球技などの運動の後に一過性に糸球体性血尿が出ることが知られている。さらに,剣道など強く足の裏を踏み込むことを繰り返す運動では,溶血によりヘモグロビン尿が出ることが知られている(行軍性血尿)。そのため,部活動などの運動の状況についても質問すべきである。

血尿のピットフォールとして,おむつのとれていない乳幼児のレンガ尿がある。保護者が血尿と間違い心配し受診することが多い。これは,おむつにピンク色の尿酸塩や蓚酸塩が付着し,ピンクやオレンジの色調を呈するものである。採尿で血尿を否定し,尿中に尿酸塩や蓚酸塩が存在することを確認し,その機序を保護者に説明する。また,チペピジン ヒベンズ酸塩(アスベリン),セフジニル(セフゾン),リファンピシンなどの薬剤でも尿が赤色調になることがあり,注意が必要である。

 尿検査では,蛋白尿の定性と定量(TP/Cr 比,正常:2 歳以上0.2 未満,2 歳以下0.5 未満),高Ca 尿症の診断のための尿Ca/Cr 比(正常:7 歳以上0.2未満,5–7歳0.3未満,3–5歳0.4未満,1–3歳0.53未満,12か月以下0.8未満)もしくは24時間の尿中Ca排泄量(正常:4 mg/kg/日以下),血尿をきたす頻度は少ないが,間質性腎疾患の診断のための尿中β 2 ミクログロブリン(ただし,pH 5.5以下では分解され低値になり評価不適)を調べる。ちなみに,尿中Ca 排泄量は食事の影響を受けやすく,繰り返し確認する必要がある。

学校検尿の三次検診で行われる血液検査項目は自治体により異なるが,末梢血,総蛋白,アルブミン,クレアチニン,尿素窒素,CRPASOIgGIgACH50C3 などが検査される。さらに,全身性エリテマトーデス,ANCA 関連疾患,肝炎に関連した腎炎などを疑う場合は,抗核抗体,抗dsDNA抗体,ANCA抗体,BC型肝炎の検査なども追加する。なお,小児IgA 腎症では血清IgAの上昇を認めない場合が多い。

下記の状況があれば、至急精密検査が必要である。

① 蛋白尿の持続:早朝尿中間尿の尿蛋白定性,および

尿蛋白/ 尿クレアチニン比がそれぞれ

  1+ 程度,0.20.4 が,612 か月程度持続する場合

  2+ 程度,0.50.9 が,36 か月程度持続する場合

  3+ 以上,1.01.9 が,13 か月程度持続する場合

  4+ 以上,2 以上の場合

 は,早急に紹介すべきである。

② 肉眼的血尿

③ 低蛋白血症:血清Alb 3.0 g/dL 未満

④ 低補体血症(急性糸球体腎炎を除く)

⑤ 腎機能障害の存在

⑥ 高血圧を伴う場合

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